icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻12号

2004年12月発行

文献概要

連載 婦人科超音波診断アップグレード・9

卵巣成熟嚢胞性奇形腫の超音波所見

著者: 佐藤賢一郎1 水内英充2

所属機関: 1新日鐵室蘭総合病院産婦人科 2旭川みずうち産科婦人科

ページ範囲:P.1495 - P.1506

文献購入ページに移動
[1] はじめに

成熟嚢胞性奇形腫は全卵巣腫瘍の20%程度を占めるとされ,日常遭遇する頻度の比較的高い疾患の1つである.通常,脂肪や毛髪,骨・歯などを内容として含む特徴があるため,術前診断が可能な場合が多い.しかし,ときにチョコレート嚢胞,卵管・卵巣膿瘍,黄体,子宮外妊娠,石灰化や変性を伴った有茎性筋腫,腸管などとの鑑別が問題となる場合や,画像上特異な所見を示す例も散見1)されており,注意が必要である.

現在,成熟嚢胞性奇形腫の画像診断には経腟・経腹超音波,CT,MRIが使用されることが多い.CTは被曝の問題があり,MRIはコストの問題と設備面で必ずしも常用できるわけではない.超音波診断による成熟嚢胞性奇形腫の診断のメリットの1つは,これらのCT,MRIのデメリットを回避,補うことにあり,第二には簡便で被曝がないので繰り返し検査が可能なため経過観察に適していることも臨床的意義が大きいと考える.また,そもそもCT,MRIは二次的な検査であり,日常診療ではまず超音波診断が先に行われるはずである.以上の観点から,成熟嚢胞性奇形腫の超音波診断は臨床的に重要と考え,今回取り上げた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?