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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻12号

2004年12月発行

原著

当院での子宮筋腫核出術の現状

著者: 中村学1 水竹佐知子1 臼井真由美1 宮本純孝1 富田初男1 安藤昭彦1

所属機関: 1さいたま赤十字病院産婦人科

ページ範囲:P.1527 - P.1532

文献概要

GnRHアゴニスト療法は子宮筋腫の縮小効果があるため,子宮筋腫核出術前に施行することがある.また,子宮筋腫核出術の出血に対する手段として,術前に自己血貯血を施行することも普及している.

今回われわれは,当院でここ5年間に子宮筋腫核出術を施行した109例を対象として,術前のGnRHアゴニスト療法が手術の出血量軽減に効果があるかどうかと,多量出血を予測し自己血貯血をしておく必要がある患者の選択基準について検討した.

術前のGnRHアゴニスト使用の有無による術中出血量や手術時間に有意差は認めなかった.しかし,GnRHアゴニスト使用の有無にかかわらず,摘出筋腫核数が11個以上では,それ以下と比べて出血量は多くなる傾向を認めた.出血量が多くなると予測される症例は,(1)多発子宮筋腫(筋腫核が11個以上のもの),(2)粘膜下筋腫,(3)治療前に貧血が認められる症例と考えられた.


はじめに

随伴症状のある子宮筋腫の治療に対して,挙児希望の患者には子宮筋腫核出術を施行することが一般的である.GnRHアゴニストによる偽閉経療法は子宮筋腫の縮小効果があるため,子宮筋腫核出術前にGnRHアゴニストを使用する方法が広く行われている.当院でも子宮筋腫核出術前にできるだけGnRHアゴニスト療法を施行し,さらに術前に自己血貯血を施行し,術中の多量出血に対しての輸血対策を施してきた.しかし,現実に術中多量出血で輸血を必要とする症例は多くなく,果たして術前の自己血貯血は必要かと疑問がある.

今回,ここ5年間の当院での子宮筋腫核出術の結果を見直し,子宮筋腫核出術予定の患者に自己血貯血が必要か否かと,GnRHアゴニスト療法の有効性の有無を後方視的に検討したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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