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文献概要
今月の臨床 産婦人科診療とリスクマネージメント 医療事故の実際とリスクマネージメント
2.人工妊娠中絶
著者: 竹村秀雄1
所属機関: 1小阪産病院
ページ範囲:P.142 - P.147
文献購入ページに移動はじめに
わが国の人工妊娠中絶件数は1950年代の100万件代から1990年代には30万件代へと激減したが,その後は横這い状態となっている.そのなかで近年は若年層,特に10代の占める割合の急激な上昇が目立っている.このような年齢では予期しない妊娠のため初診時期の遅れることが多く,リスクの高い中期中絶が減少しない原因にもなっている.最近の日産婦医会の調査1)によれば,産婦人科医療事故476件中,人工妊娠中絶に関するものは32件(7%)であり,その内訳は子宮穿孔が18件と最も多く,不完全手術6件,中絶後の死亡,麻酔,注射による事故各1件,その他5件であった.分娩に関するもの318件(67%)に比し少ないが,人工妊娠中絶は分娩数のほぼ3分の1であることや,取り扱い期間の短いこと,さらに最近では患者の権利意識が高まり軽微な事故でもトラブルに発展することもあって,人工妊娠中絶に関するリスクマネージメントは等閑視できない問題である.
わが国の人工妊娠中絶件数は1950年代の100万件代から1990年代には30万件代へと激減したが,その後は横這い状態となっている.そのなかで近年は若年層,特に10代の占める割合の急激な上昇が目立っている.このような年齢では予期しない妊娠のため初診時期の遅れることが多く,リスクの高い中期中絶が減少しない原因にもなっている.最近の日産婦医会の調査1)によれば,産婦人科医療事故476件中,人工妊娠中絶に関するものは32件(7%)であり,その内訳は子宮穿孔が18件と最も多く,不完全手術6件,中絶後の死亡,麻酔,注射による事故各1件,その他5件であった.分娩に関するもの318件(67%)に比し少ないが,人工妊娠中絶は分娩数のほぼ3分の1であることや,取り扱い期間の短いこと,さらに最近では患者の権利意識が高まり軽微な事故でもトラブルに発展することもあって,人工妊娠中絶に関するリスクマネージメントは等閑視できない問題である.
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