icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻2号

2004年02月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科診療とリスクマネージメント 医療事故の実際とリスクマネージメント

2.人工妊娠中絶

著者: 竹村秀雄1

所属機関: 1小阪産病院

ページ範囲:P.142 - P.147

文献購入ページに移動
はじめに

 わが国の人工妊娠中絶件数は1950年代の100万件代から1990年代には30万件代へと激減したが,その後は横這い状態となっている.そのなかで近年は若年層,特に10代の占める割合の急激な上昇が目立っている.このような年齢では予期しない妊娠のため初診時期の遅れることが多く,リスクの高い中期中絶が減少しない原因にもなっている.最近の日産婦医会の調査1)によれば,産婦人科医療事故476件中,人工妊娠中絶に関するものは32件(7%)であり,その内訳は子宮穿孔が18件と最も多く,不完全手術6件,中絶後の死亡,麻酔,注射による事故各1件,その他5件であった.分娩に関するもの318件(67%)に比し少ないが,人工妊娠中絶は分娩数のほぼ3分の1であることや,取り扱い期間の短いこと,さらに最近では患者の権利意識が高まり軽微な事故でもトラブルに発展することもあって,人工妊娠中絶に関するリスクマネージメントは等閑視できない問題である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?