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文献概要
今月の臨床 不正出血の患者が来たら 年齢とreproductive stageで考える
1.小児期
著者: 藤井美穂1
所属機関: 1札幌医科大学産婦人科学講座
ページ範囲:P.242 - P.245
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小児期の不正性器出血の多くは器質性出血である.不正性器出血は,子宮以外の性器出血と,排卵性月経を除いたすべての子宮出血とからなり1),器質性出血を除外したのち機能性出血が診断される.表1に器質性出血の出血部位別原因疾患をまとめた.出血部位は多くの場合明らかであるが,受診時にはすでに出血がなくなっていたり,一時的に止血してしまっていることもある.不正性器出血が腟からの出血であるか子宮からの出血であるかは,成人女性であれば腟鏡診で鑑別が容易であるが,小児では鑑別が困難であることが多い.小児期の外陰・腟からの出血は外傷によるものが多く,自損,腟内異物によることもあるので注意を要する.さらに性的虐待が原因にないかどうかも考慮に入れなければならない.また,血液疾患など全身性疾患の一症状であったり,切迫流産や他院で人工妊娠中絶術を受けた後の可能性もある.
このように,小児期の不正出血の診断に際しては問診の技術に加え,限られた診察から得られる情報を十分利用して出血の原因疾患を推定しうる社会的関心と経験が必要である.
小児期の不正性器出血の多くは器質性出血である.不正性器出血は,子宮以外の性器出血と,排卵性月経を除いたすべての子宮出血とからなり1),器質性出血を除外したのち機能性出血が診断される.表1に器質性出血の出血部位別原因疾患をまとめた.出血部位は多くの場合明らかであるが,受診時にはすでに出血がなくなっていたり,一時的に止血してしまっていることもある.不正性器出血が腟からの出血であるか子宮からの出血であるかは,成人女性であれば腟鏡診で鑑別が容易であるが,小児では鑑別が困難であることが多い.小児期の外陰・腟からの出血は外傷によるものが多く,自損,腟内異物によることもあるので注意を要する.さらに性的虐待が原因にないかどうかも考慮に入れなければならない.また,血液疾患など全身性疾患の一症状であったり,切迫流産や他院で人工妊娠中絶術を受けた後の可能性もある.
このように,小児期の不正出血の診断に際しては問診の技術に加え,限られた診察から得られる情報を十分利用して出血の原因疾患を推定しうる社会的関心と経験が必要である.
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