文献詳細
文献概要
今月の臨床 不正出血の患者が来たら 月経周期との関連で考える
1.一定の時期に起こるもの
著者: 香山浩二1
所属機関: 1兵庫医科大学産婦人科
ページ範囲:P.265 - P.267
文献購入ページに移動はじめに
不正性器出血は,月経,妊娠・分娩・産褥期の生理的出血を除いたすべての性器出血をいい,産婦人科外来受診患者の訴えのなかで最も多い症状の1つである.子宮内膜からの出血のうち,月経と妊娠,炎症,外傷,腫瘍などの器質的原因を除いたものを機能性子宮出血と呼び,卵巣からのホルモン分泌異常や子宮内膜の反応性の異常が主な原因となる1).
機能性子宮出血は大きく無排卵性出血と排卵性出血に分類される(表1).無排卵性子宮出血は思春期,更年期に最も多くみられ,排卵が起こらないためプロゲステロンが産生されず,相対的にエストロゲン過剰となり,エストロゲンの消退による消退性子宮出血(withdrawal bleeding)またはエストロゲンの持続的分泌による増殖子宮内膜からの破綻出血(breakthrough bleeding)として起こる.老年期では萎縮性子宮内膜からの出血がみられることがある2).
本稿のテーマである月経周期の一定の時期に起こる不正出血は大部分が排卵周期に伴うもので,その発生時期により,①月経後に起こるもの,②排卵期に起こるもの,③黄体期に起こるものに分けることができる(図1)3).稀にエストロゲンの消退性出血による無排卵性の周期性子宮出血がみられ,無排卵性周期症と呼ばれる(図1).
不正性器出血は,月経,妊娠・分娩・産褥期の生理的出血を除いたすべての性器出血をいい,産婦人科外来受診患者の訴えのなかで最も多い症状の1つである.子宮内膜からの出血のうち,月経と妊娠,炎症,外傷,腫瘍などの器質的原因を除いたものを機能性子宮出血と呼び,卵巣からのホルモン分泌異常や子宮内膜の反応性の異常が主な原因となる1).
機能性子宮出血は大きく無排卵性出血と排卵性出血に分類される(表1).無排卵性子宮出血は思春期,更年期に最も多くみられ,排卵が起こらないためプロゲステロンが産生されず,相対的にエストロゲン過剰となり,エストロゲンの消退による消退性子宮出血(withdrawal bleeding)またはエストロゲンの持続的分泌による増殖子宮内膜からの破綻出血(breakthrough bleeding)として起こる.老年期では萎縮性子宮内膜からの出血がみられることがある2).
本稿のテーマである月経周期の一定の時期に起こる不正出血は大部分が排卵周期に伴うもので,その発生時期により,①月経後に起こるもの,②排卵期に起こるもの,③黄体期に起こるものに分けることができる(図1)3).稀にエストロゲンの消退性出血による無排卵性の周期性子宮出血がみられ,無排卵性周期症と呼ばれる(図1).
掲載誌情報