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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻3号

2004年03月発行

連載 OBSTETRIC NEWS

双胎妊娠胎児一児死亡は遂娩が必要なのか?

著者: 武久徹1

所属機関: 1武久産婦人科医院

ページ範囲:P.321 - P.323

文献概要

 筆者は約20年前から北米の周産期学会,セミナー,卒後教育の会に出席している.10年以上前に,Palm Springsで行われているFreeman RK(ロングビーチ記念病院)らが毎年主催しているコースで,双胎妊娠胎児一児死亡(single demise)の講義を聴いたときには,「胎児生存可能時期以降で即刻遂娩を行えば,残存生存児の転帰を改善できるから即刻介入が標準的医療」という結論ではなかったと記憶している.詳細を把握しているわけではないが,最近,single demiseの診断後直ちに遂娩せず,残存生存児に分娩後に高度脳障害が発症した例の医療訴訟が複数発生していることを耳にした.最近10年間で,「single demiseの診断後即刻遂娩して明らかに残存生存児の転帰の改善がみられた」という複数の信頼できる証拠となる研究が紹介されたのであろうか? 本稿ではこの問題を検討する.

 Single demiseの発生頻度は2.2%(OG 63 : 126, 1984),2.4%(Lancet 355 : 1597, 2000),2.6%(OG 73 : 685, 1989),7.9%(Acta Ob Gyn Scand 78 : 202, 1999)で,多胎妊娠では稀な合併症ではない.残存生存児の転帰に関しては多数の報告がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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