文献詳細
今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩ガイダンス
II.硬膜外麻酔分娩の概要 分娩の痛みについて
14.分娩の痛みについて,開口期(内臓痛)と娩出期(体性痛)に分けて説明して下さい.また,痛みの伝達経路についても教えて下さい.
著者: 甘彰華1
所属機関: 1神奈川県警友会けいゆう病院産婦人科
ページ範囲:P.391 - P.393
文献概要
痛みはその原因により,(1)侵害受容性のもの,(2)神経因性のもの,(3)心因性のものに区別される.子宮や会陰組織にも苦痛や外傷などの刺激を受容し伝達する末梢神経構造,すなわち侵害受容器がある.
1. 侵害刺激
機械的刺激,物理的刺激,発痛物質として化学物質が挙げられる.傷害された皮下組織血漿や細胞膜から産生される発痛物質により,神経終末は繰り返し刺激され痛みの信号を送る.神経終末は,受傷に伴う交感神経緊張状態から放出されるノルアドレナリンに過敏に反応し,さらにマクロファージから産生されるcytokine(インターロイキンやnerve growth factorなど)によっても反応を増強する.発痛物質として,アセチルコリン,カリウム,セロトニン,ロイコトリエン,ヒスタミン,ブラディキニン,プロスタグランジンなどがある.
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