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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻4号

2004年04月発行

文献概要

今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩ガイダンス II.硬膜外麻酔分娩の概要 硬膜外麻酔分娩を行うための設備と体制

22.公立病院ではどうしていますか.

著者: 内野直樹1 西井文乃1

所属機関: 1社会保険相模野病院母子センター

ページ範囲:P.410 - P.411

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1 はじめに

 麻酔分娩管理のために必要な設備は特殊なものは一切必要としない.分娩室近辺に救急カートがあれば急変に対応可能である.カートの内容も一般の一次,二次救急対応可能な施設の機器で十分である.最も必要な体制は,母児の異常を早期発見可能とする産科スタッフの教育と円滑な連絡方法,直ちに救急救命処置の可能なシステム構築と迅速に行動できるスタッフの養成である.麻酔分娩の際に起こり得る重篤な合併症の頻度は1~2%以下に過ぎないが,処置が遅れた場合は致命的な結果に陥るからである.

 病院全体の体制として,可能であれば“飛び込みの帝王切開”(術前検査未施行で電話連絡と同時に入室するような帝王切開)が行える体制を整備しておくべきであろう.手術室は,分娩室と同一のフロアーにあればさらに時間の短縮が可能である.われわれの施設では年間1,000例弱の分娩しか扱っていないため,超緊急の帝王切開は年間10例前後であるが,手術決定から児娩出までの時間は年々短縮され,現在では最短20分程度で可能となった.麻酔科,手術室との定期的な話し合いで協力体制が徐々に整ってきたことが時間の短縮につながった.現在の課題は時間外,日祭日などの対応である.平日日勤帯と同様に行えることが望ましいが,われわれの施設では麻酔科,手術室看護婦はオンコール体制なので最短で40分となってしまう.将来の目標として,超緊急帝王切開は分娩室で行うことを検討中である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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