icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻4号

2004年04月発行

今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩ガイダンス

V.無痛分娩―われわれの工夫 硬膜外麻酔―われわれの工夫

59.田中ウィメンズクリニックの工夫について教えて下さい.

著者: 田中康弘1

所属機関: 1田中ウィメンズクリニック

ページ範囲:P.521 - P.523

文献概要

1 お産はなぜ痛い

 あるとき直立二足歩行を始めた人類の祖先は,知能の発達とともに頭部が肥大化した.そのため他の哺乳動物のように成熟するまで体内で育つと,頭部が産道を通過できなくなる.

 また,直立したために子宮の上下が逆転し,子宮口が子宮の最下端部に位置したため発育した胎児の重みが子宮口を圧迫し,早産しやすい形態となった.体内で育ちすぎれば産道を通過できず,早すぎれば未熟性が強くて生育できないという,産道通過性と未熟児性という相反する2つの要素のせめぎあいのなかで,産道をギリギリ通過できる時期に陣発する形質を得た人類が子孫を残すことに成功したのである.

 通常の生理機能は最大能力の20~30%で行われ,常に70%以上の機能的予備力を残して行われている.火事場の馬鹿力とか,青竹を握り潰した産婦の話はそれを雄弁に物語るもので,いかに努力しても周産期のトラブルをゼロにすることはできないのは,人類の分娩に限って機能的な余裕のまったくない100(±a)%の脱出口突破作業だからである.したがって,産痛は人間の尊厳を保てないほど強い場合が多く,胎児にとってもあまりに激しい産痛はストレスとなる.母体の消耗を防ぎ,胎児にも負荷をかけ過ぎないために産痛を除去することは,母児の安全にとってきわめて重要である.ちなみに,産痛とは表1のごときものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら