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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻4号

2004年04月発行

今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩ガイダンス

VI.硬膜外麻酔分娩と妊婦 妊婦の疑問に答えます

70.下肢を自由に動かしたり,歩行することはできるのですか.

著者: 山本哲三1

所属機関: 1札幌東豊病院産婦人科

ページ範囲:P.552 - P.552

文献概要

1 はじめに

 硬膜外麻酔分娩では,産痛に関係する知覚神経を遮断すれば目的が達成されるのであるから,運動神経は遮断する必要がない.また,知覚神経線維と運動神経線維の局麻薬に対する感受性には差がある.すなわち,知覚神経枝は局麻薬によって運動神経枝より遮断されやすい.

 以上のことを考慮すると,局所麻酔薬濃度をできるだけ低くすることにより知覚神経だけを選択的に遮断できることになる.その結果,下肢の運動も自由であり,筋力の低下もなく歩行も自由にできることになる.

 しかし実際には知覚神経を完全に遮断する麻酔薬の濃度は運動神経の一部も遮断してしまい,下肢の運動はある程度できるが,筋力の低下により自由な歩行ができなくなる.また,遷延分娩などで長時間麻酔を必要とする妊婦では,歩行できないことは排尿行動が制限されることになる.このことに対応するには,分娩第2期まで持続導尿カテーテルを採用するか,間欠的導尿を行う必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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