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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻4号

2004年04月発行

文献概要

今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩ガイダンス VI.硬膜外麻酔分娩と妊婦 妊婦の疑問に答えます

80.分娩後,どれくらい経てば歩行できますか.

著者: 早田幸司1

所属機関: 1早田産婦人科クリニック

ページ範囲:P.565 - P.565

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1 はじめに

 児が産まれてから胎盤が娩出するまでを分娩第3期,胎盤娩出後の2時間を分娩第4期といい,弛緩出血や子宮頸管裂傷などのため大出血が起こりやすい時期なので,この間はベッド上での厳重な観察が必要である.血圧や脈拍などのバイタルサインや子宮収縮,出血のチェックを行う.

 腟からの外出血が少なく安心していると,急に意識レベルと血圧が低下しショック状態に陥る例がある.子宮収縮不全で子宮筋が弛緩して出血が性器外に出ず,気がつかぬ間に1,000 ml以上の血液が子宮内に貯留しているようなケースである.少なくなったとはいえ,出血は未だ稀にみられる妊産婦死亡の最大の原因である.しかもそれらのほとんどは,見落としさえしなければ十分に救命可能なケースなので,この2時間の観察は重要である.第4期が過ぎると多量出血が生じる危険は少なくなるので,離床は可能である.

 以前は,何日もベッド上での安静を強いられていた時代があったようだが,最近は一般手術後と同様に,産褥期でも血栓症予防を目的として早期離床が勧められている.子宮復古を促進し,排便排尿機能の早期回復にも有効である.しかし,分娩は所要時間や出血量など個々で差があり,一律に同じ時間で離床開始というわけにはいかない.各施設間で多少違いがあるものの,だいたい産後6時間前後で歩行開始していると思われる.正常分娩後なら,その程度の時間が経てば疲労もほぼ回復している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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