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今月の臨床 血栓症と肺塞栓―予防と対策 周産期における血栓予防対策─当科の方針
3.国立成育医療センターにおける対策
著者: 久保隆彦1 望月昭彦1 鈴木泉 渡邉典芳1 尾見祐子1 名取道也1
所属機関: 1国立成育医療センター周産期診療部産科
ページ範囲:P.684 - P.687
文献購入ページに移動妊娠・分娩・産褥期には,生理的血液凝固能の亢進,増大した子宮の圧迫による下肢からの血流の停滞,上昇した女性ホルモンによる静脈の弛緩によって血栓を形成しやすい状態にある.また,肺塞栓症の発症率は,手術操作による静脈の血管内皮障害あるいは臥床による経腟分娩後より帝王切開術後のほうが約10倍高く,帝切後の肺塞栓は,その約半数が術後3日目以内に起こり,初回歩行時が最もリスクが高いといわれている.頻度は低いものの,臨床症状が乏しく早期診断が困難なこと,いったん発症すれば死亡率が高率であるため,その予防が重要となってくる.
そこで本稿では,国立成育医療センター(National Center for Child Health and Development : NCCHD)での帝王切開後の血栓症と肺塞栓対策管理について略述し,発表されたばかりの肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドラインにも触れたい.
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