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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻5号

2004年05月発行

連載 症例

子宮adenomatoid tumorの2手術症例―主病変としての臨床像,病理像―

著者: 浜本鉄也1 田島康夫2 高橋英彦2 宮川昇2 立山尚子3 篠原義智4

所属機関: 1多摩南部地域病院検査科病理 2帝京大学医学部附属溝口病院臨床病理科 3多摩南部地域病院婦人科 4多摩南部地域病院放射線科

ページ範囲:P.723 - P.728

文献概要

 Adenomatoid tumor of the uterus(ATU)の2手術症例を報告する.1例目は38歳,3回経妊・2回経産・1回流産,主訴は過多月経,貧血.2例目は42歳,2回経妊・2回経産,主訴は下腹痛,月経不順.2例とも腫瘍マーカーCA125の血中レベルの軽度の上昇がみられ,またMRIでは子宮筋腫が疑われ,腹式単純子宮摘出術が施行された.術後の病理検査で2例ともATUと確定診断した.

 今回われわれが経験した2例のATUは術前診断はなされていないものの主病変として把握され,その間の臨床経過中の自他覚症状,および腫瘍マーカーCA125,MRIなどの臨床所見が判明してる.また,筋腫,腺筋症などの合併症もみられず,ATU固有の病態が顕在化していると考えられる.この機会に未だ十分に把握されているとはいえないATUの主として臨床像,病理像の本態に迫った.


はじめに

 Adenomatoid tumor of the uterus(ATU)は比較的稀な良性腫瘍であるが,近年は病院,大学などから散発的ではあるがまとまった症例数の報告がみられる1~2).また,臨床医,病理医などの研鑚の結果,発生母細胞は中皮細胞と特定され,研究面での進歩がみられる.しかし臨床像,術前診断,病因,病理発生などまだまだ解明されていない部分も残されている.今後,症例数が増えるにしたがい,主病変として発見される症例も予測され,必然的に臨床医の術前診断,および診断精度の向上が見込まれなければならない.

 今回われわれは,わずか2症例であるが主病変としての臨床症状,腫瘍マーカー,MRI像などATU固有と思われる臨床情報を得たので,病理像と合わせ,また同じ子宮筋層の類似疾患である筋腫,腺筋症と比較しながら検討し,その結果を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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