文献詳細
連載 婦人科超音波診断アップグレード・3
経腟超音波の子宮体癌スクリーニングへの応用(2)
著者: 佐藤賢一郎1 水内英充2
所属機関: 1新日鐵室蘭総合病院産婦人科 2みずうち産科婦人科
ページ範囲:P.825 - P.830
文献概要
子宮体癌のスクリーニングに経腟超音波を導入するにあたり,偽陰性例の存在は重要な問題の1つである.われわれは,経腟超音波でcut off値を満たす,子宮内膜厚を示さない子宮体癌例を経腟超音波菲薄内膜体癌と呼称し,その病態について検討してきた.経腟超音波菲薄内膜体癌の病態を知ることは,その診断・治療につながるため重要と考えるからである.自験例5例(図1,2,3,4,5)と文献的考察をもとに検討したところ,(1)極小病巣体癌,(2)びまん性浅層浸潤体癌,(3)主として筋層内に浸潤する体癌,(4)漿膜下や筋層内嚢胞・腫瘍の癌化,などが考えられ,(3)には腺筋症に沿った浸潤例,内向性発育が特に高度な例,(4)には子宮腺筋症の癌化例,mesonephric originの悪性化例1),congenital intramural cyst2, 3)の癌化などがあり得るものと思われた(表1).“主として筋層内に浸潤する体癌”については,“intramural carcinomas”,“intramural”spreadsとしてKuwashimaら4, 5)がその存在について注目しており(図6),内膜から発生した体癌が筋層への浸潤を強く示す場合,腺筋症から発生する場合,漿膜下嚢胞より発生する場合などを想定している.
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