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連載 症例
腸結核を併発した産褥期結核の1症例
著者: 松本安代14 紙森隆雄2 藤原仁史3 横田光4 藤川晃成2 向井秀一3 川端眞人1 椋棒正昌4
所属機関: 1神戸大学医学部医学研究国際交流センター国際保健学教室 2淀川キリスト教病院呼吸器内科 3淀川キリスト教病院消化器科 4淀川キリスト教病院産婦人科
ページ範囲:P.965 - P.967
文献購入ページに移動はじめに
結核は,世界的にみて単一病原体による感染症としてはHIV/AIDSに次いで死因第2位であり,年間約200万人が死亡し,2000年においては800~900万人の新規患者が推定されている1).成人の新規結核患者の9%がHIV陽性であることから,二次感染としての結核の再興,また途上国における貧困と人口過密による結核の流行,そして薬剤耐性結核の増加は非常に注目されている2).日本における結核は,1997年より3年連続して罹患率の上昇を認め,1999年には人口10万人対34.6となり「結核緊急事態宣言」が厚生省より出された.以後,罹患率は低下したものの,毎月全国で2,000人を超える新規患者登録があり,20~30代がその17%を占める2).特に妊娠・産褥期は妊娠中もしくは授乳中であるため,受診の遅れ(patient's delay),診断・治療の遅れ(doctor's delay)につながりやすい3).
今回われわれは,産褥期に発熱と腹痛を主訴に来院し,腸結核を併発した肺結核症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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