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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻9号

2004年09月発行

文献概要

今月の臨床 不育症診療─その理論と実践

自己免疫疾患による不育症

著者: 香山晋輔1 古山将康1 村田雄二1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(産科学婦人科学)

ページ範囲:P.1131 - P.1135

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はじめに

不育症(recurrent pregnancy loss : RPL)は,3回以上の妊娠22週未満での流産を繰り返す状態と定義されており,RPLは生殖年齢カップルの約1%の頻度に認められる1).RPLの原因は多岐にわたっているうえ,それぞれの流産原因を精査しても,半分以上の症例においては推定される原因が不明であるため,患者や産婦人科医双方にとって診療上厄介な疾病である.RPLの主たる原因としては,遺伝学的,内分泌代謝学的,子宮の形態学的,血液凝固学的異常によるものとともに,自己免疫学的異常の関与が示唆され,RPLの原因の約5~10%を占めている2)

代表的な自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus : SLE)に流産発症が関連することは長い間知られていた3).1980年代に入って,抗リン脂質抗体症候群(anti─phospholipid antibody syndrome : APAS)患者におけるRPLの合併が注目され始め,現在では抗カルジオリピン抗体(anti─cardiolipin antibodies : ACA)の有意なレベル上昇がRPLに関連することが確実なものとなってきた4).他の自己免疫疾患や関連する自己抗体,例えば抗核抗体,抗SS─A抗体,甲状腺自己抗体などに対してもRPLの原因としての可能性について研究が進められたが,十分なevidence based medicine(EBM)を持つものは少ない5).この総説ではRPLの原因としてEBMの確立しているSLEとAPASを中心に,自己免疫疾患とRPL発症との関係について概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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