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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻9号

2004年09月発行

文献概要

今月の臨床 不育症診療─その理論と実践

不育症と漢方

著者: 後山尚久1

所属機関: 1大阪医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.1159 - P.1165

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はじめに

「妊娠」に関していくつかの漢方薬が古くから用いられている.妊娠を継続させる「安胎薬」の代表は当帰散や白朮散である.安胎作用を有する生薬としては人参,黄耆,艾葉,香附子,杜仲,冬虫夏草などがあるとされる.この方剤群の実際の処方目標となるのは妊娠初期であり,エキス漢方薬としては当帰芍薬散や帰膠艾湯が切迫流早産などの妊娠の継続目的によく用いられる.漢方薬の安胎効果を知り,妊娠中の諸疾患に漢方薬を適切に用いることは,少産時代における女性の質の高い産前・産後生活に貢献すると思われる.

不育症は,その原因として子宮内腔異常,免疫・血液凝固異常,染色体異常,内分泌異常など,多くの因子が挙げられるが,なかでも抗核抗体陽性(22.0%),抗リン脂質抗体陽性(12.1%)例が多いことが報告されている1).しかし,抗リン脂質抗体陽性にはcardiolipinのみならず,phosphotidylserineやphosphotidylinositolやそのほか多くのリン脂質抗体陽性をすべて含んでおり,どのリン脂質抗体陽性例が不育症を高頻度に起こしてくるのかはいまだに判明していない.また,最近は血栓傾向と不育症の関連についても多くの議論がある.ATIII欠損症,protein C欠損症,protein S欠損症やそのほか多くの線溶系優位環境が不育症要因として注目されている2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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