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今月の臨床 症例から学ぶ多嚢胞卵巣
多嚢胞性卵巣症候群の排卵誘発法
著者: 苛原稔1 松崎利也1 桑原章1
所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部女性医学分野
ページ範囲:P.79 - P.83
文献購入ページに移動多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome : PCOS)は内因性LHが高く,排卵誘発療法に対して過剰反応しやすいので,多発排卵を起こす結果,副作用として卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多胎妊娠が発生しやすい.特に,ゴナドトロピン療法時には細心の注意が必要である.また,他の排卵障害に比較して妊娠率が低く,流産も多い傾向にあるので,難治性の不妊症になりやすいことにも,PCOSの排卵誘発を難しくしている.
図1にわれわれが用いているPCOSの各種排卵誘発法の選択法を示す1).一般にPCOSでは無排卵周期症や第1度無月経などの比較的軽度の排卵障害が多いので,まずクロミフェン療法の適応になることが多い.しかし,クロミフェン無効例が多く,結果的にゴナドトロピン療法を選択することが多い.ゴナドトロピン療法を行う場合は,治療成績は高いが副作用の発生頻度も高いので,投与法の工夫が重要である.副作用が頻発する場合には,外科的治療も有用である.また,最近はPCOSと糖代謝異常,あるいはインスリン抵抗性の関連が明らかにされてきたので,インスリン抵抗性改善薬が排卵障害の治療目的に使用されはじめている.
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