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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻11号

2005年11月発行

今月の臨床 婦人科の新しい画像診断法─PETを中心として

ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)

原理,読影の基礎

著者: 巽光朗1 村上卓道2 中村仁信2 畑澤順3

所属機関: 1武田病院画像診断センター 2大阪大学大学院医学系研究科放射線医学講座 3大阪大学大学院医学系研究科核医学講座

ページ範囲:P.1444 - P.1447

文献概要

PETの原理,基本

 PETは正式名称をpositron emission tomography(陽電子放射断層撮影)といい,核医学検査に分類される.主として経静脈性に,機能・代謝情報を観察するための物質に陽電子放出核種で標識した放射性薬剤を投与するが,この陽電子放出核種から生じる高エネルギー(従来の核医学検査と比較して)の消滅放射線を用いて画像を得る点がPETの大きな特徴である.PETで用いられる陽電子放出核種はほとんどが半減期が短く,したがって,上記の特徴を持った放射性薬剤合成のためには自家のサイクロトロンが必要とされる.また,専用のPETカメラも必要とされる.

 近年,がんに対する「PET検査」が注目されているが,ここでのPET検査はブドウ糖類似の放射性薬剤2─[18F]fluoro─2─deoxy─D─glucose(FDG)を用いたFDG PET検査を意味する.ブドウ糖代謝が悪性腫瘍細胞で亢進していることを利用して画像化するものである.この悪性腫瘍における亢進したブドウ糖代謝については古くから知られており,10年ほど前までは,同じく活発なブドウ糖代謝が行われている脳に対して主として用いられるのと同様に,腫瘍FDG PET検査(以下,PET検査)は研究用に行われていた.その後,全身像の撮像が可能となったこと,また,それによって実現した転移の評価がCTなどのほかの画像診断を超える高成績であったこと,さらに,制限はあるものの2002年より保険診療が可能となったことなどを契機に急速にPET検査は普及することとなった.癌検診にもPET検査が用いられていることは,多くの諸氏がご存知かと思われる.

参考文献

1) Havrilesky LJ, Kulasingam SL, Matchar DB, et al : FDG─PET for management of cervical and ovarian cancer. Gynecol Oncol 97 : 183─191, 2005
2) Lerman H, Metser U, Grisaru D, et al : Normal and abnormal 18F─FDG endometrial and ovarian uptake in pre─ and postmenopausal patients : assessment by PET/CT. J Nucl Med 45 : 266─271, 2004
3) Nishizawa S, Inubushi M, Okada H : Physiological 18F─FDG uptake in the ovaries and uterus of healthy female volunteers. Eur J Nucl Med Mol Imaging 32 : 549─556, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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