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臨床経験
HIV感染女性の妊孕性についての検討
著者: 五味淵秀人1 堀川隆1 服部里佳1
所属機関: 1国立国際医療センター・病院産科婦人科
ページ範囲:P.1655 - P.1657
文献購入ページに移動HAART(highly active antiretroviral therapy : 多剤併用療法)の導入によってHIV感染は慢性感染症とさえいわれるようになってきており,非感染者と同様に,結婚をして挙児を希望する者も少なからず出てきた.しかし,エイズ症状がなくともHIV感染が男性の妊孕性を障害することについて多くの報告があり,われわれも当院における検討を行った結果,その精液所見は精子濃度20×106/mlまたは運動率50%を基準とした場合には44%がこれを下回り,同様に40×106/mlまたは運動率60%とした場合には67%が下回っていたことを報告した1, 2).性行為が重要な感染経路であるHIV感染では,男性のみならず女性の妊孕性も障害する可能性がある.
そこで,今回は女性の妊孕性に与える影響について検討を行った.女性の場合,妊娠時のスクリーニング検査でHIV感染が見つかることが少なからずあり,このような症例では妊孕性が障害されていたかどうか検討することは難しい.また,感染が判明したあとはコンドームによる“safe sex”を指導されることが多く,妊孕性を検討することはさらに困難となる.よって,正確な検討はなされていないのが現状である3).われわれは,当科で行っている水平感染予防のための人工授精(夫HIV陰性,妻陽性)を受けた5症例について解析を行った.
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