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今月の臨床 症例から学ぶ常位胎盤早期剥離 症例から学ぶ
重症妊娠中毒症に対する降圧剤の選択―重症妊娠中毒症に脳出血を続発し母体死亡となった症例を振り返って
著者: 田村圭浩1 岸上靖幸1 小口秀紀1
所属機関: 1トヨタ記念病院周産期母子医療センター産科
ページ範囲:P.136 - P.139
文献購入ページに移動妊娠中毒症は,常位胎盤早期剥離,子宮内胎児発育遅延などのさまざまな妊娠合併症を発症しやすく1),母体および児死亡の主要原因となりうるハイリスク妊娠である.特に常位胎盤早期剥離は,産科disseminated intravascular coagulopathy(DIC)の原因の約50%を占め,母体死亡率は約1~2%,児死亡率は20~50%と報告されている2).常位胎盤早期剥離の病因の詳細は不明であるが,40~80%に妊娠中毒症を合併していると報告されている3).また,妊娠中毒症を合併した常位胎盤早期剥離のほうが妊娠中毒症を合併しない常位胎盤早期剥離に比べて重症化しやすく,DICを発症しやすいとされている4).常位胎盤早期剥離では,凝固障害が存在するために胎盤娩出後の大量出血をきたしやすく,さらには子宮筋層への血液浸潤による子宮収縮不全を生じやすく,本症の治療ではDIC,ショックに対する全身管理が必要となる.
われわれは,6年前に急激に重症妊娠中毒症を発症し,常位胎盤早期剥離,子癇,脳出血を続発し母体死亡となった症例を経験した5).今回その症例を振り返るとともに,その経験をもとに,重症妊娠中毒症に対する治療法,特に降圧剤の選択について検討したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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