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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻2号

2005年02月発行

文献概要

今月の臨床 症例から学ぶ常位胎盤早期剥離 症例から学ぶ

常位胎盤早期剥離の臨床経験

著者: 北井啓勝1 金田佳史1 西尾浩1 田島博人1 柳本茂久1 豊島究1 伊藤仁彦1

所属機関: 1埼玉社会保険病院産婦人科

ページ範囲:P.144 - P.147

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はじめに

 常位胎盤早期剥離(早期剥離)では,胎盤と子宮壁の間に血腫が突然発生し,胎児の障害,さらには母体の血管内血液凝固症候群(DIC)により多臓器障害および出血が出現する.本疾患は,全妊娠の0.5%から1.3%に発生し,0.1%から0.2%はDICを併発して重症化する.また,以前に早期剥離の既往がある場合には,次回の妊娠での反復発生率は約10倍となり6~17%といわれている.

 早期剥離の臨床症状は重症度により異なる.Pageによれば,胎盤剥離30%以下の軽症,30~50%の中等症,50%以上の重症に分類されるが,軽症でもときに児心音が消失する場合がある.初発症状は子宮収縮であり,90%には性器出血,50%には下腹部痛を認める.下腹部痛は時間の経過とともに重症化して,悪心および嘔吐を伴うことがあり,腹部子宮壁が板状硬となる.最終的には性器出血,強度の子宮収縮,ショック症状が認められることになる1)

 妊娠37週以前には切迫早産の症状と似ていることから,子宮収縮抑制剤が投与されて診断が遅れる場合がある.このため胎盤早期剥離を疑う場合には胎児心拍を連続測定する必要がある.また,胎盤が後壁に位置していると,母体がショック症状を呈して胎児に危険の迫っている場合にも疼痛が軽度のことがある.

 本稿では,1997年の当院における早期剥離の検計2)に症例を追加し,母体死亡をきたした重症例,診断および治療にかかわるエビデンスについて述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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