icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻2号

2005年02月発行

今月の臨床 症例から学ぶ常位胎盤早期剥離

早剥管理の新しい視点

最近の原因分析―血液凝固異常

著者: 廣瀬雅哉1

所属機関: 1大津赤十字病院産婦人科,滋賀医科大学産科学婦人科学教室

ページ範囲:P.167 - P.171

文献概要

はじめに

 常位胎盤早期剥離は,全分娩のおよそ0.5%という比較的高い頻度で発生し,多くは予測困難で突発的に発症し,母児に重大な事態をもたらすことがある産科疾患であり,古くより,そして今なお妊産婦および産科医に脅威を与え続けている1).妊娠中毒症や切迫早産で入院している妊婦が突然,常位胎盤早期剥離を発症し,重大なトラブルに発展することがいまだにあるし,ましてや定期的な妊婦健診が行われていても次回の健診までに,常位胎盤早期剥離により母体,胎児あるいはその両方に危機的状態が生じることを予測する手段は今なお皆無に等しく,ほとんど予測不能といえる.現時点では,常位胎盤早期剥離の原因と考えられる状態にある妊婦をハイリスクとみなして超音波診断などを駆使して厳重管理するよりほかはない.

 近年,ある種の血液凝固線溶系の異常と常位胎盤早期剥離との関係が注目され,常位胎盤早期剥離の病因の1つとして認識されつつある.しかし,その概念が新しいがゆえに,病因としての位置づけ,重要性,診断法,治療法あるいは予防法など不明の点が非常に多い.本稿では,血液凝固線溶系の異常と常位胎盤早期剥離との関係,および今後の実地臨床における位置づけ,その活用法などについて,われわれのデータと,現時点で知りうる情報を紹介しながら述べることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら