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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻2号

2005年02月発行

今月の臨床 症例から学ぶ常位胎盤早期剥離

早剥管理の新しい視点

最近の原因分析―絨毛膜羊膜炎

著者: 塩崎有宏1 酒井正利1 斎藤滋1

所属機関: 1富山医科薬科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.172 - P.175

文献概要

はじめに

 常位胎盤早期剥離(以下,早剥と略す)は全分娩数の約1%を占めており,その60%は37週未満(preterm)で生じる.早剥の原因や誘因として外傷,高血圧,喫煙,前回早剥既往,多産婦,子宮奇形,急激な子宮内圧の低下などが報告されている.従来,妊娠中毒症による血管変化が早剥の主たる原因であるとする説が有力であった.しかしながら,妊娠中毒症を合併していない妊婦での早剥が増加しており,妊娠中毒症は早剥のリスク因子の1つに過ぎないという意見が多くなってきている.さらにpretermの早剥の原因の1つとして,絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis : 以下,CAMと略す)が関与している可能性が報告されてきている.CAMが合併している場合,子宮と胎盤との接着に必要なフィブロネクチンリセプター(FNR)が侵入してきた好中球から放出される蛋白分解酵素(顆粒球エラスターゼ)によって分解され減少し,その結果,脱落膜の接着性が低下することにより早剥が引き起こされるのが1つの要因となるとする説もある.近年,CAMと早剥との類似点を指摘する研究が散見されるようになってきており,本稿では早剥とCAMとの関連性について概説したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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