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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻2号

2005年02月発行

今月の臨床 症例から学ぶ常位胎盤早期剥離

早剥管理の新しい視点

児死亡例の分娩方針

著者: 野田清史1 森巍2

所属機関: 1愛媛県総合周産期母子医療センター 2愛媛大学医学部

ページ範囲:P.194 - P.197

文献概要

はじめに

 常位胎盤早期剥離(以下,早剥と略す)の分娩方針としては,児が生存しており,かつ胎児ジストレスを伴っている場合には急速遂娩として帝王切開を行うことに対して議論の余地はない.しかし,児がすでに死亡している場合における分娩方針について,すなわち経腟分娩とするか帝王切開とするかに関しては一致した見解がみられない.本邦では,帝王切開を選択している施設が多い.胎児死亡に至るほどの早剥症例は重症であり,DIC(disseminated intravascular coagulation : 播種性血管内凝固症候群)を発症しているか,または時間とともにDICを発症する可能性が高い例がほとんどであることは事実である.

 一般的に早剥の発症から4~6時間以内をgolden timeとし,その時間内に分娩が終了したものはDICの発症がない1)とされることから,母体のDICの原因を早期に除去することを目的に帝王切開が選択されている.しかし,米国においては,以前よりウイリアムズの産科学など2, 3)に,児死亡例の分娩方針は原則経腟分娩が望ましいこと,およびその理論的,臨床的な検証が記載されている.当センター(愛媛県総合周産期母子医療センター)においても,積極的に経腟分娩を取り入れ,過去15年間に扱った34例の早剥,児死亡例のうち27例に経腟分娩を行った.当センターにおける経験と文献的な考察により,児死亡例の分娩方針について検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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