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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻3号

2005年03月発行

今月の臨床 安全な腹腔鏡下手術をめざして

安全性と予後に配慮した手術手技

腹腔鏡補助造腟術

著者: 田坂慶一1 田原正浩1 橋本奈美子1 清水彰子1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学

ページ範囲:P.314 - P.317

文献概要

はじめに


 腟欠損症はさまざまな先天性異常で起こる.Rokitansky─Kuster─Hauser症候群(R─K─H症候群)および精巣性女性化症などが代表的である.これらには,ときとして泌尿器系異常や骨格系異常を伴うこともある.本症の治療は非観血的治療と観血的治療法に分けられる.非観血法としてしては各種圧迫法が試みられている.観血的治療法としては各種治療法が考案されているが,現在わが国で比較的広く行われているのは遊離皮膚弁移植法1),S字状結腸利用法2),骨盤腹膜利用法3, 4)である.


 図1に日本各施設で行われている観血的治療法についての全国調査の結果を示した.各医療機関において症例数は年0~数例であり,治療の方法を変えることが難しく,慣れた方法を踏襲するのが実状である.しかし実態としては遊離皮膚弁利用法,S字状結腸利用法,骨盤腹膜利用法への変遷がわずかながらみられる5).最近ではインターシードを用いる方法6),口腔粘膜を利用する方法7),人工皮膚を用いる方法などが試みられている.腹腔鏡を併用して安全な手術を行う対象としては腹腔内へアプローチがある骨盤腹膜利用法とS字状結腸利用法がある.骨盤腹膜利用法は比較的簡便であるために最近普及しつつある.われわれは本法を初期10例は開腹で直視下で行い,次の7例は腹腔鏡監視下に行い,最近7例は会陰法のみで行っている.ただし癒着などの考えられる例や精巣性女性化症の場合は腹腔鏡補助で行うこともある.S字状結腸利用法においても腹腔鏡で行う報告8)がみられるが,現時点ですべてを産婦人科で行うことは一般的でないので,ここでは主に骨盤腹膜利用法について述べることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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