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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻3号

2005年03月発行

今月の臨床 安全な腹腔鏡下手術をめざして

腹腔鏡下手術合併症の予防と対策

尿管,膀胱損傷

著者: 舟本寛1

所属機関: 1富山県立中央病院産婦人科

ページ範囲:P.338 - P.342

文献概要

はじめに


 腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われて以来,産婦人科領域においても子宮筋腫,子宮内膜症,卵巣腫瘍,子宮外妊娠などの良性疾患のほとんどが従来の開腹術に替わって腹腔鏡下で行われ,標準術式になっている.また,一部の施設では子宮癌,卵巣癌などの悪性腫瘍に対しても骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節の切除,さらには広汎子宮全摘術までが腹腔鏡下で試みられるようになっており,腹腔鏡下手術の適応は今後ますます拡大すると考えられる.このように腹腔鏡下手術が大きく発達した理由は,種々の周辺機器の発展・改良により術者の手術手技自体の技量が向上したことはもちろんであるが,何より従来法の開腹術に比べ低侵襲であり,患者のQOLの向上という大きな利点があり,患者側からの強い要望が大きく関与していると考えられる.


 一方,腹腔鏡下手術には通常の開腹手術では起こりえないような偶発症や重篤な合併症が発生することも知られている1).合併症の危険性は気腹・トロカールの挿入,術中の鉗子操作,電気機器の使用,トロカールの抜去時などいろいろな場面で発生する可能性がある.そのため術者は豊富な経験を持ち,種々の機器の機能を理解し,どのような状況でどういった合併症が発生する可能性があるか十分に理解し,認識しておく必要がある.


 本稿では当科におけるこれまでの腹腔鏡下手術の合併症について述べ,特に膀胱,尿管損傷について文献的考察を加えて検討する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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