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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 1.日常的な突発疾患の治療と注意点

[耳・鼻疾患] 外耳炎,中耳炎

著者: 松谷幸子1

所属機関: 1仙台赤十字病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.406 - P.409

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1 診療の概要

1. 外耳炎

 外耳道軟骨部(外側1/3)には皮膚付属器(毛嚢,皮脂腺,耳垢腺)があり,細菌感染で急性化膿性限局性外耳炎(耳せつ)となり,限局した発赤・腫張,化膿が進めば頂点に膿がみられる.外耳道骨部(深部2/3)は薄い皮膚が骨に接していて皮膚付属器はなく,皮膚の傷からの細菌感染はびまん性外耳炎を起こす.いずれも自発痛のほかに開口時や耳介の牽引,耳珠部の圧迫で痛みが増強する.膿瘍や膿汁,浸軟した耳垢が外耳道を塞ぐと耳閉感が出現する.ときに耳前後部のリンパ節炎を起こす.真菌性外耳炎は耳かきでいじるなどがきっかけで少量の滲出液が出て真菌が繁殖し,その刺激でさらに耳漏が出る悪循環となる.一般に痛みは強くないが,しつこい痒みを訴える.びまん性外耳道炎と区別しにくいことがあるが,湿潤型では外耳道に灰白色の厚い落屑物があり,表面に黒い点や胞子が見えることもある.乾燥型では多量の痂皮が鼓膜まで鋳型状・靴下状につまり,耳閉感を訴える.

2. 中耳炎

 急性中耳炎は,ほとんどが上気道感染に引き続いて耳管経由で起こる,中耳腔から乳突蜂巣に広がる粘膜の炎症である.鼓膜には発赤,混濁,膨隆がみられ,ときに鼓膜穿孔を残し7~10日の経過で炎症は消退していく.しかし滲出性中耳炎に移行する場合があり,少なくとも3週間は経過に注意する.症状は耳痛,耳漏,難聴で,ときに悪寒,発熱,食欲不振など全身症状を伴う.先行する上気道感染のためにすでに鎮痛薬の投薬を受けていると耳痛を訴えないことがある.耳漏は粘膿性(ときに血性,漿液性).軽~中程度の伝音性難聴がみられる.好発年齢は小児(特に2歳以下)である.妊娠可能な年齢での罹患頻度は高くない.しかし,この年齢でもみられるムコイド型肺炎球菌による急性中耳炎(ムコーズス中耳炎)は一側性で非常に激しい痛みで発症し,骨導値の低下を伴うことが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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