icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 1.日常的な突発疾患の治療と注意点

[消化器系疾患] 便秘

著者: 永田智子1 春木篤1

所属機関: 1横浜市立大学市民総合医療センター母子医療センター

ページ範囲:P.438 - P.439

文献購入ページに移動
1 診療の概要

 便秘は便通の回数または量が異常に減少し,便が硬くなり,排便が順調に行われず,3日以上排便を欠く状態をいう.通常は便通異常に伴う症状(腹痛,排便困難,腹部膨満感など)が不快で日常生活に支障をきたす場合に便秘としている.

 便秘は発症様式より急性と慢性に,原因からは機能性と器質性とに分類される.妊娠中にみられる便秘は慢性機能性便秘であり,発症する病態としては以下のようなことが考えられている.妊娠初期は胎盤から分泌されるプロゲステロンが胃・腸管平滑筋に作用して,緊張低下と蠕動運動の抑制を引き起こす.また妊娠中~後期では肥大した妊娠子宮により上方の腸管は圧排され,下方のS状結腸,直腸は持続的な機械的圧迫を受け,腸運動も低下する結果となる.また妊娠中に発症しやすい痔疾のため,排便をこらえることも誘因の1つである.以上をまとめると,以下のようになる.

参考文献

1) 高橋 裕 :【下痢と便秘】女性の便秘と妊娠中の便.Medicina 36 : 1518─1510, 1999
2) 北岡有喜 :【妊娠に伴うマイナートラブルへの対応】妊娠中の便秘の科学.ペリネイタルケア19 : 988─992, 2000
3) 内藤博之 :【楽しくお産楽しく子育て 周産期医学から出産・育児を考える】便秘と痔.周産期医学32 : 22─26, 2002
4) 進 純郎 :【周産期の治療薬マニュアル】正常妊娠中によくみられるマイナートラブルの薬物療法.周産期医学33 : 608─613, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?