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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識

Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 1.日常的な突発疾患の治療と注意点

[皮膚疾患,感染症] 蕁麻疹,湿疹

著者: 池田美智子1 南光弘子1

所属機関: 1東京厚生年金病院皮膚科

ページ範囲:P.455 - P.457

文献概要

1 診療の概要

1. 蕁麻疹1)

 痒みを伴う膨疹と紅斑が出没する疾患で,皮膚の一過性限局性の浮腫である.皮疹は数時間から1日以内に完全消退し,外来受診時に皮疹を認めないことも多い.病態はアレルギー性または非アレルギー性に肥満細胞が活性化され,脱顆粒により放出されたヒスタミンなどの化学伝達物質により真皮浅層の血管透過性が亢進され生じる.眼囲や口唇では皮膚深部で反応が起こり境界不明瞭な浮腫(血管性浮腫とも呼ばれる)を生じ,消退までに1日以上かかることも多い.発症から4週間以内に症状が消失するものを急性蕁麻疹,それ以降も出没を繰り返すものを慢性蕁麻疹として臨床の便宜上大別している.原因不明のものが多いが,現在ではおおよそ表1のように分類されている2)

 急性蕁麻疹では食事,薬剤,感染症などによるものが多く,重篤な場合は呼吸困難,血圧低下,意識障害などのアナフィラキシー症状も伴う.食物依存性運動誘発性アナフィラキシーでは小麦,エビなどの特定食物を摂取後,運動負荷が加わることでアナフィラキシーを引き起こし近年増加傾向がみられる.また,ラテックスアレルギーがある者ではキウイやバナナなどの果物を摂取直後から数分以内に口唇,舌の腫脹を生じ,悪心,血圧低下に進展する口腔アレルギー症候群の存在も報告されている.

参考文献

1) 田中稔彦,秀 道弘 : 蕁麻疹の分類と疫学.アレルギー・免疫10 : 571─578, 2003
2) 秀 道広 : 日本皮膚科学会前実績研修講習会必須Bコーステキスト「蕁麻疹」,日本皮膚科学会研修委員会刊,2002年度
3) 櫻根幹久,古川福実 : 慢性蕁麻疹と食物.アレルギー・免疫10 : 586─592, 2003
4) 上野賢一 : 皮膚科学.pp117─140,金芳堂,京都,2002
5) 横尾郁子,佐藤孝道 : 妊婦にアレルギー治療薬を選ぶとき.臨床と薬物治療14 : 16─18, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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