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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識

Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 1.日常的な突発疾患の治療と注意点

[皮膚疾患,感染症] アトピー性皮膚炎

著者: 池田美智子1 南光弘子1

所属機関: 1東京厚生年金病院皮膚科

ページ範囲:P.458 - P.459

文献概要

1 診療の概要1)

 増悪と寛解を繰り返すそう痒が高度な湿疹で,患者はアトピー素因を持つ.アトピー素因とはアトピー疾患の家族歴・既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎,結膜炎,アトピー性皮膚炎のうちいずれか,あるいは複数の疾患)を有すること,またはIgE抗体を産生しやすい素因をいう.病態として,(1)80%に高IgE血症を認め,ダニ,ハウスダストに対する特異的IgE抗体陽性であるというアレルギー的側面と,(2)角質細胞間脂質セラミドの減少などの乾燥肌に伴う皮膚バリアー機能低下に代表される非アレルギー的側面の2つがある.また(1)と関連した免疫学的反応のTh1/Th2バランス理論では,通常の湿疹・皮膚炎と異なりTh2優位と考えられている.

 一般的には小学校高学年までに軽快することが多いが,近年,成人まで続いたり,思春期・成人期にはじめて出現したりする成人型アトピー性皮膚炎が増加している.成人型では20歳台が好発年齢で,全身の湿疹病変のほかに顔面の潮紅・落屑を呈する場合が少なくない.精神的ストレスから掻くことが嗜癖行動となり,皮疹の悪化因子となっていることも多い.精神的不安定になりやすい妊婦のアトピー性皮膚炎の管理はメンタル面での配慮が必要と思われる.

参考文献

1) 古江増隆,古川福実,秀 道弘,他 : 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2003改訂版.日皮会誌113(4): 451─457, 2003
2) 竹原和彦 : アトピー性皮膚炎の治療.皮膚疾患最新の治療2003─2004, pp1─4,南江堂,東京,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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