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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 1.日常的な突発疾患の治療と注意点

[そのほか] 静脈炎

著者: 廣瀬一浩1 杉藤祐美1 細野真沙子1

所属機関: 1国立精神・神経センター国府台病院産婦人科

ページ範囲:P.499 - P.501

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1 診療の概要

 静脈は壁が薄く,平滑筋も少ないので伸展しやすい.また下肢では壁にかかる圧が増加する.下肢には表在および深部静脈があり,貫通静脈によってつながっており,静脈弁により重力に逆らって静脈血が心臓に還流される.下肢筋肉が収縮と弛緩を交互に繰り返すことと,関節の動きが深部静脈からの静脈還流に必要である.貫通静脈の弁は,筋肉弛緩時には表在静脈から深部静脈への血流を確保し,筋肉収縮時には逆流を防いでいる1).静脈の伸展性が増加する遺伝素因,長期間に及ぶ立位,坐位の仕事や運動不足,加齢により表在静脈と貫通静脈の弁機能不全による逆流が起こり表在静脈の蛇行をきたす(一次性静脈瘤).これに対し,二次性静脈瘤の多くは深部静脈血栓後などにみられる.

 静脈瘤の男女比は1 : 4.4と女性に多く,妊娠により悪化しやく,女性患者の約10~15%が妊娠中に下肢静脈瘤が出現するといわれる2).静脈炎は静脈瘤に炎症が波及したもので,静脈壁の炎症は血栓を伴うことが多く血栓性静脈炎ともいう.血栓性静脈炎は,表在性血栓性静脈炎(superficial thrombophlebitis)と深部静脈血栓症(deep venous thrombosis : 以下,DVT)に分けられ,Virchowは血栓性静脈炎の3要因として静脈瘤,血液濃縮,長期臥床を挙げている.

参考文献

1) 松尾 理(監訳): 静脈疾患.症状の基礎からわかる病態生理.メディカル・サイエンス・インターナショナル,pp240─241, 2003
2) 小林昌義 : 下肢静脈瘤,静脈炎,深部静脈血栓症.産と婦11 : 1489─1495, 2004
3) 小林隆夫 : 静脈血栓塞栓症.日産婦医会ニュース10 : 1─16, 2004
4) 安藤 智,他 : 当科の周産期血栓症予防への取り組み.臨婦産58 : 676─679, 2004
5) Greer IA : Prevention of venous thromboembolism in pregnancy. Best Practice&Research Clinical Haematology 16 : 261─278, 2003
6) 石田秀一,他 : 妊婦に発症した肺血栓塞栓症(PTE)の診断と治療について.Therapeutic Research 24 : 570─573, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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