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今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 2.妊娠合併症の治療と注意点
[精神系疾患] 統合失調症
著者: 神谷直樹1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属柏病院産婦人科
ページ範囲:P.536 - P.537
文献購入ページに移動1 疾患の概要
統合失調症は,陽性症状(幻覚や妄想,精神運動興奮)と陰性症状(感情鈍麻,引きこもり,自発性の低下)を示す精神障害であり,人口の0.8%~1%にみられ,15歳から30歳頃までに発症するといわれている.遺伝的要素を多く持った疾患で,両親のいずれかが有病の場合は10.1%の確率という1).したがって,産科側では妊娠の可否や中絶の適応など興味あるところだが,人権問題などを含むため明確な基準はない.妊娠中は初発より再発・再燃が多いといわれているが,その場合,診療拒否や医療者への衝動行動,徘徊など管理に難渋することが多い.そして統合失調症に対する投薬は,疾患の完治というよりも,症状を軽減し生活に必要な記憶力,理解力,問題解決能力などの機能を回復させることを目的としている.そのため,催奇形性を心配することによる自己判断での服薬中断には注意が必要であり,家族・精神科との連携も重要となる.
2 産科的概要
統合失調症の妊婦は肥満が多い.そのため妊娠中毒症,妊娠糖尿病の発症予防に注意する必要がある.早産などの予防も含めて十分な保健指導を必要とする2).分娩時には産科手術(帝王切開,吸引など)が必要となることが多いが,これは患者の分娩に対する理解,協力が得られないことが一因といわれているので,患者,家族,精神科医と十分に調整しておくことが必要となる.
統合失調症は,陽性症状(幻覚や妄想,精神運動興奮)と陰性症状(感情鈍麻,引きこもり,自発性の低下)を示す精神障害であり,人口の0.8%~1%にみられ,15歳から30歳頃までに発症するといわれている.遺伝的要素を多く持った疾患で,両親のいずれかが有病の場合は10.1%の確率という1).したがって,産科側では妊娠の可否や中絶の適応など興味あるところだが,人権問題などを含むため明確な基準はない.妊娠中は初発より再発・再燃が多いといわれているが,その場合,診療拒否や医療者への衝動行動,徘徊など管理に難渋することが多い.そして統合失調症に対する投薬は,疾患の完治というよりも,症状を軽減し生活に必要な記憶力,理解力,問題解決能力などの機能を回復させることを目的としている.そのため,催奇形性を心配することによる自己判断での服薬中断には注意が必要であり,家族・精神科との連携も重要となる.
2 産科的概要
統合失調症の妊婦は肥満が多い.そのため妊娠中毒症,妊娠糖尿病の発症予防に注意する必要がある.早産などの予防も含めて十分な保健指導を必要とする2).分娩時には産科手術(帝王切開,吸引など)が必要となることが多いが,これは患者の分娩に対する理解,協力が得られないことが一因といわれているので,患者,家族,精神科医と十分に調整しておくことが必要となる.
参考文献
1) 諏訪 望 : 最新精神医学─精神科臨床の基本.p211,南江堂,1984
2) 濱田洋実,他 : 周産期医学27(増刊号): 224,1997
3) Brggs GG : Drugs in Pregnancy and Lactation. pp118─120, Lippincott, 1990
4) Morrell MJ : Neurology 51 : S21, 1998
5) Goldstein DJ, Corbin LA, Fung MC : Olanzapine─exposed pregnancies and lactation : early experience. J Clin Psychopharmacol 20 : 399─403, 2000
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