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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 2.妊娠合併症の治療と注意点

[脳血管疾患] くも膜下出血

著者: 熊谷万紀子1 安達知子2

所属機関: 1葛西産婦人科 2総合母子保健センター愛育病院産婦人科

ページ範囲:P.542 - P.543

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1 診療の概要

 妊娠に関連した脳出血の頻度はおおよそ1/15,000~22,000で,非妊時に比較して相対危険率は妊娠中では2.5,産褥期では28.3という報告がある1).脳出血の主なものは高血圧性脳出血とくも膜下出血であり,くも膜下出血の原因の多くが脳動静脈奇形と脳動脈瘤である.生殖年齢に合併しやすいものは,むしろ前者であるが,脳動静脈奇形については別項に譲り,本稿では脳動脈瘤について述べる.

 2 治療方針

 速やかな診断ののち,手術が優先される.CT,MRIや十分に被曝を防御したうえでの最小限の血管撮影は,胎児に対する悪影響は少なく,むしろ正確な病型および部位診断を行い,それに対して最善の策を講ずることができるため,胎児の安全を確保するために有用と考えられている.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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