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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 2.妊娠合併症の治療と注意点

[消化器系疾患] 虫垂炎

著者: 佐世正勝1 手島みどり2 神谷晃2

所属機関: 1山口大学医学部附属病院周産母子センター 2山口大学医学部附属病院薬剤部

ページ範囲:P.554 - P.555

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1 診療の概要

 特異性炎症性疾患で,多くは急性虫垂炎である.生涯を通じて6~20%の人が罹患するといわれ,外科的急性腹症として最も頻度が高い疾患である.急性虫垂炎の好発年齢は7~15歳の小児期であるが,20~30歳代の罹患者も多い.病変の進行度でカタル性(滲出性),蜂窩織炎性,壊疽性に分類され,壊疽性で穿孔をきたすと汎発性腹膜炎を起こすことがある.

 1,000~2,000分娩に1例の割合1)で,急性虫垂炎は妊娠に合併する.子宮の増大により虫垂が上方に移動し,また大網も上方に押し上げられるため,虫垂が破裂した際に限局化されにくく,広範な腹膜炎になりやすい.半数以上が穿孔性虫垂炎であり,妊娠後期ほど予後が悪い.実際,妊娠後期の場合の母体死亡率は5%以上と報告されている2).また,妊娠23週以後で虫垂切除後の胎児死亡は22%であったとも報告されている1)

参考文献

1) Mazze RI, Kallen B : Appendectomy during pregnancy : a Swedish registry study of 778 cases. Obstet Gynecol 77 : 835─840, 1991
2) Sharp HT : Gastrointestinal surgical conditions during pregnancy. Clin Obstet Gynecol 37 : 306─315, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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