icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識

Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 2.妊娠合併症の治療と注意点

[消化器系疾患] 急性妊娠脂肪肝

著者: 香川秀之1

所属機関: 1関東労災病院産婦人科

ページ範囲:P.560 - P.561

文献概要

1 診療の概要

 1940年にSheehanは,妊婦・褥婦剖検例の中で,組織学的に肝臓の炎症像,壊死像を欠き,肝細胞に小葉中心性,び慢性の著明な脂肪滴の沈着,すなわち脂肪肝の状態を認めた6症例を報告した1).これが,今日でいう急性妊娠脂肪肝(acute fatty liver of pregnancy)である.

 急性妊娠脂肪肝は,初回妊娠に多く,妊娠30~40週の妊娠後期,特に妊娠末期に発症することが多い.急激な肝不全の進行に加え,DIC,腎不全の合併を認めるため,診断が遅れた場合は母児ともに死亡率が高く,予後のきわめて不良とされた疾患であるが,近年は急性妊娠脂肪肝という疾患概念が浸透し,早期に診断されるようになったことや,肝不全,DIC,腎不全などに対する管理の進歩により,予後の改善がみられている.

参考文献

1) Sheehan HL : The pathology of acute yellow atrophy and delayed chloroform poisoning. J Obstet Gyaecol Br Emp 47 : 49─62, 1940
2) Mabie WC : Computed tomography in acute fatty liver of pregnancy. Am J Obstet Gynecol 158 : 142, 1988
3) 水上尚典 : 急性妊娠脂肪肝.周産期医学33 : 1483─1486, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら