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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 2.妊娠合併症の治療と注意点

[腎・泌尿器系疾患] 慢性腎炎

著者: 廣瀬雅哉1

所属機関: 1大津赤十字病院産婦人科

ページ範囲:P.566 - P.567

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1 診療の概要

 臨床的にさまざまな程度の蛋白尿,血尿,腎機能障害をきたす腎糸球体疾患を糸球体腎炎といい,WHO症候分類では臨床像を基に,急性腎炎症候群,急速進行性腎炎症候群,反復または持続性血尿症候群,慢性腎炎症候群,ネフローゼ症候群の5型に分類されている.わが国では,急性腎炎の発症から異常尿所見または高血圧が1年以上続く,あるいは急性腎炎の先行なく異常尿所見が1年以上続くものを慢性腎炎と定義している1)ため,本稿で述べる慢性腎炎とは慢性腎炎症候群と持続性血尿症候群を合わせたものを指していると考えられる.

 持続性血尿症候群は肉眼的または顕微鏡的血尿が潜在的あるいは急激に出現し,蛋白尿はみられないかあるいは軽微であり,高血圧,浮腫などの腎炎症状はみられない症候群であり,IgA腎症,びまん性メサンギウム増殖性糸球体腎炎,thin basement membrane syndromeなどが含まれる2).慢性腎炎症候群は蛋白尿,血尿,高血圧を認め,次第に腎不全に陥る症候群であり,進行性のIgA腎症が特徴的な疾患で最も頻度が高いが,膜性増殖性糸球体腎炎,びまん性膜性腎症,巣状糸球体硬化症の一次性の腎炎が含まれる2).なお,わが国の慢性腎炎の定義では糖尿病腎症,ループス腎炎あるいは腎アミロイドーシスなどの全身性疾患によるものは慢性腎炎に含めないことになっている1)

参考文献

1) 宮部信一 : 原発性糸球体腎炎患者と妊娠.厚生省進行性腎障害調査研究班報告書.pp124─127, 1989
2) 槇野博史(編): プラクティカル内科シリーズ10.腎炎・ネフローゼ─診断へのアプローチと治療戦略.南江堂,東京,2000
3) 荒川正昭 : 慢性糸球体腎炎症候群.最新内科学大系第56巻─原発性糸球体疾患(井村裕夫,他編).pp72─92,中山書店,東京,1995
4) Briggs GG, Freeman RK, Yaffe SJ : Drugs in Pregnancy and Lactation. 6 th eds. Lippincott Williams&Wilkins, Philadelphia, 2002
5) Sibai BM : Diagnosis and management of gestational hypertension and preeclampsia. Obstet Gynecol 102 : 181─192, 2003
6) Dekker G, Sibai B : Primary, secondary, and tertiary prevention of preeclampsia. Lancet 357 : 209─215, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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