文献詳細
今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 2.妊娠合併症の治療と注意点
[血液・自己免疫疾患] 全身性エリテマトーデス
著者: 由良茂夫1 伊東宏晃1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科器官外科学(婦人科学産科学)
ページ範囲:P.578 - P.579
文献概要
全身性エリテマトーデス(SLE)は20~30歳代に好発する自己免疫疾患である.特徴的な皮膚症状に加えて関節,腎臓,中枢神経系,血球系など広汎な臓器に炎症を伴って発症する.近年ではステロイドや免疫抑制薬などの治療法の進歩によって生命予後は著明に改善し,妊娠,出産を経験する症例も増加の傾向にある.しかしながら,SLE合併妊娠は母児にとってきわめてハイリスクであることに変わりはなく,母体にとっては妊娠の継続が困難となる可能性ばかりでなく,妊娠終了後にも長期にわたって後遺障害を残す可能性があり,胎児にとっては流産や早産,あるいは子宮内胎児死亡(IUFD),IUGR(intrauterine growth restriction),胎児低酸素症などの重篤な合併症を発症する可能性を認識しておく必要がある.
2 治療方針
SLE患者にはSLEの活動性が低く,臓器障害を伴わないことを妊娠の条件としているが,妊娠確定時にはSLEの活動性と臓器機能を再度評価しておく必要がある.妊娠継続が可能と判断される症例では,妊娠中のSLEの再燃など妊娠がSLEに与える影響と,妊娠経過,胎児発育など妊娠に対してSLEが及ぼす影響の両者を考え,患者にも十分に説明したうえで経過を観察する.
参考文献
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