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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 2.妊娠合併症の治療と注意点

[感染症] 成人T細胞白血病ウイルス

著者: 長岡理明1 山本樹生1

所属機関: 1日本大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.591 - P.593

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1 診療の概要

 成人T細胞性白血病(adult T─cell leukemia : ATL)は1976年に高月らによって発見された予後不良のリンパ系腫瘍で,九州,沖縄,四国などの限定された地域で多発し,家族内発生が多く,主な感染経路は夫婦間,母児間である.

 病型は急性型,慢性型,くすぶり型,リンパ腫型の4つに分類される.ATLの症状はほかの白血病に比べ貧血や出血傾向は少なく,リンパ節腫脹,肝脾腫,皮膚浸潤,高カルシウム血症が出現し,細胞性免疫が低下するため日和見感染(カリニ肺炎,真菌性肺炎など)などの合併症が死因となることが多い.治療は多剤併用化学療法であるが,完全寛解率は30~40%と低く,生存期間の中央値は約8か月である.疫学的には,本邦では約120万人以上のキャリアが存在し,そのうちで年間約1,000~2,000人に1人の率でATLが発症する.キャリアの生涯累積発症危険率は男性が4.5%,女性が2.6%と報告され,50歳代が多いとされる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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