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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識

Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 3.STDの治療と注意点

クラミジア

著者: 宮内彰人1

所属機関: 1日本赤十字社医療センター産婦人科

ページ範囲:P.612 - P.613

文献概要

1 診療の概要

 クラミジア(Chlamydia trachomatis : CT)感染症は最近の発生動向調査によれば,最も発生頻度が高い性感染症(STD)で,若年女性に多く,さらに増加傾向にある.CTは子宮頸部円柱上皮に親和性を有し,子宮頸管炎として発症するが,妊婦の場合は妊娠子宮に感染が波及し絨毛膜羊膜炎へと進展し,それが原因で流早産が起こることもある.Algerら1)は前期破水症例についての検索により,対照と比べ有意に高率にCTが陽性であることを報告し,早産,前期破水のリスク因子としての重要性を指摘している.また,分娩時に垂直感染を起こし,新生児の結膜炎,肺炎の原因にもなることが知られている2)

 2 治療方針

 クラミジア頸管炎は一般には無症状のことが多いとされており,気づかずに放置されると流早産の誘因となる.したがって,妊婦においてはスクリーニング検査によりCTを検出することが重要である.CT陽性の妊婦にはマクロライド系の抗菌薬を投与する.パートナーの同時治療も必須である.耐性菌は未知であり,治療が的確に行われればほぼ100%完治する.

参考文献

1) Alger LS, Lovchic JC, Hebel JR, et al : The association of Chlamydia trachomatis, Neisseria gonorrhoeae, and group B streptococci with preterm rupture of membranes and pregnant outcome. Am J Obstet Gynecol 159 : 397─404, 1988
2) Schachter J, Grossman M, Sweet RL, et al : Prospective study of perinatal transmission of Chlamydia trachomatis. JAMA 255 : 3374─3377, 1986
3) 保田仁介 : クラミジア感染症.産と婦67 : 1649─1654, 2000
4) 高桑好一,田中憲一 : クラミジア検査,淋菌検査.産と婦69(Suppl): 88─92, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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