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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 3.STDの治療と注意点

AIDS(HIV感染症)

著者: 加納武夫1

所属機関: 1産婦人科加納病院

ページ範囲:P.622 - P.623

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1 診療の概要

 HIV(human immunodeficiency virus)は主としてCD4陽性Tリンパ球やマクロファージ系細胞に感染するレトロウイルスである.HIVは血液,体液などを介して感染するが,現在,日本では異性間および男性同性間の性的接触が主な感染経路である.

 HIV感染症は大きく3つの病期(急性感染期,無症候期,AIDS期)に分けることができる.感染したHIVは,主としてリンパ節のなかで急速に増殖し,感染後2~3週の間に1×106 copy/mlを超えるウイルス血症を呈する.約半数の患者はこの時期に発熱,発疹,リンパ腺腫脹などの急性感染症状を呈するが,数週間で消失する.やがて患者の免疫機構が活動を始めるとウイルスは排除されていくが,一方でウイルス自身も活発に増殖しようとするため,両者が拮抗する状態へと移行する.この時期には血漿中のHIV─RNA(ウイルス)量は総量として減少しながらほぼ安定した値に保たれ,これをセットポイントと呼ぶ.この間はほとんど症状なく経過し(無症候期),これが約5~10年くらい持続する.このバランスが崩れ,HIV─RNA量が増殖し,標的細胞であるCD4陽性リンパ球数が徐々に減少してくると細胞性免疫不全の状態を呈し,AIDSに特徴的症状(指標疾患 : 日和見感染,腫瘍,カンジダなどの真菌症,ウイルス感染症,細菌感染症,原虫症,カポジ肉腫,リンパ腫などの腫瘍)が発症する.この状態が後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome : AIDS)である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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