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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 4.妊娠・出産にかかわる疾患の治療と注意点

[妊娠・分娩] 切迫早産,前期破水

著者: 山口昌俊1

所属機関: 1宮崎大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.629 - P.631

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1 診療の概要

 切迫早産の概念について本邦と諸外国では相違がある.すなわち本邦では,妊娠37週未満で周期的に子宮収縮が認められ,子宮頸管の短縮と熟化のみられるものを切迫早産と考えるのに対し,米国産婦人科学会(ACOG)では,(1)子宮収縮が20分に4回もしくは60分に8回以上あり,子宮頸管の開大が進行していくこと,(2)子宮頸管が1 cm以上開大していること,(3)展退が80%以上であること,の3点を満たすものと定義している1).そのため,米国では肺成熟促進目的のステロイド療法の効果が出るまでの妊娠延長が論議されるのに対し,本邦では長期の妊娠延長の効果が論議される.

 切迫早産症状には頸管熟化と子宮収縮という2つの要素があり,感染などによるサイトカインの産生が重要であるが,種々の要素が絡み合って発生する2).特に妊娠28週以前では感染症が関係していることが多いといわれる.一方,前期破水は陣痛開始前に破水するものをいい,早産の原因の1つである.種々の原因が考えられるが,最近,感染の関与が注目されている.

参考文献

1) Cunningham FG, et al : Wiiliams Obstetrics. 21st ed, pp704─721 McGraw─Hill, New York, 2001
2) 杉村 基 : 早産における子宮収縮と子宮頸管熟化─その機序と制御.産婦の世界56 : 701─710, 2004
3) 川越靖之,池ノ上克 : 子宮収縮抑制剤の安全な使い方.産婦の世界56 : 735─741, 2004
4) 松田義雄 : 切迫早産の治療.産婦の世界56 : 711─714, 2004
5) Mercer BM : Preterm premature rupture of the membranes. Obstet Gynecol 101 : 178─193, 2003
6) 杉本充弘,中川潤子 : 前期破水・切迫早産症例への対応.産婦の世界56 : 723─733, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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