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今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 4.妊娠・出産にかかわる疾患の治療と注意点
[妊娠・分娩] 妊娠高血圧症候群
著者: 中井祐一郎1 山枡誠一1 橘大介1
所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科生殖発生発育病態学
ページ範囲:P.632 - P.633
文献購入ページに移動妊娠中毒症は,さまざまな病因・病態論が提起され,その本質を見極めようとする努力が盛んに行われてきた.その結果,本邦においてもその概念が大きく変わろうとしている.すなわち,三主徴を同等に扱うのではなく,本病態の本質は高血圧症にあるという考えから,浮腫単独はもちろん,蛋白尿が存在しても高血圧が発症しない限り本病態から切り離して考えることとなった.詳しくは,日本産科婦人科学会の会告を参照されたいが,本稿ではこの決定に基づいて妊娠高血圧症もしくは妊娠高血圧症候群の治療という観点から論じることとする.
2 治療方針
今回の疾患名を含む定義の改訂によるわけではないが,以前より妊娠中毒症の薬物療法としては,三主徴のうち高血圧のみが対象と考えられていた.確かに,かつて用いられていた利尿降圧薬については浮腫の存在をも考慮していたと考えられるが,特殊な病態を除いて循環血漿量を減じるとされる本剤の妊娠中の投与はむしろ禁忌とする考え方が強まっている.
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