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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 4.妊娠・出産にかかわる疾患の治療と注意点

[妊娠・分娩] 弛緩出血

著者: 末原則幸1

所属機関: 1大阪母子保健総合医療センター産科

ページ範囲:P.640 - P.641

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1 診療の概要

 わが国の妊産婦死亡の死因分析において出血性ショックは約37%を占め,最も重要な死因である.その出血性ショックの原因として弛緩出血は子宮破裂に次いで多い.このように,弛緩出血の適切な対処は妊産婦死亡を減らすために重要である.

 分娩時,胎盤が剥離すると胎盤剥離面に無数の断裂血管が露出する.しかし,その断裂血管は子宮筋の収縮によって狭小化し,血流が遮断される.これを生物学的結紮(biological ligature)という.そこに血栓ができ一時止血が起こる.この子宮筋の収縮が十分でないと,胎盤剥離断面からの出血が持続する.子宮のマーサージなどによって一時的に子宮筋の収縮が起こっても,しばらくすると子宮が弛緩して出血をするということを繰り返して,波状的に暗赤色の出血をみることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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