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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

文献概要

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識 Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療 4.妊娠・出産にかかわる疾患の治療と注意点

[妊娠・分娩] 産科DIC

著者: 末原則幸1

所属機関: 1大阪母子保健総合医療センター産科

ページ範囲:P.642 - P.643

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1 診療の概要

 妊娠中は凝固因子の増加と,凝固抑制因子の減少,線溶を抑制する因子の増加など,凝固亢進,線溶抑制の状態にある.このことは妊娠・分娩に際しての出血量を少なくするという合目的的ではあるが,血栓を生じやすく,DICに陥りやすい状態にある.

 弛緩出血や子宮破裂,頸管裂傷などである程度の出血があっても,子宮内に蓄えられていた血液が体循環に戻るため,ある程度の出血には産婦は耐えるが,出血量が多くなり,循環血液量が減少すると交感神経系が緊張し,カテコラミンの分泌亢進により心拍数が増加し,末梢血管抵抗が増す.また赤血球の減少も相俟って末梢での低酸素状態が続き,嫌気性代謝が進み,代謝性アシドーシスとなる.さらに循環不全が続くと,血管内水分は細胞間質へ漏出し,循環血液量がさらに減少する.このような循環障害が改善されないと,多臓器不全へ移行し不可逆性ショックに陥るとともに,血管内の凝固因子が消費されDICをきたす.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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