臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識

Ⅱ．妊娠中の各種疾患と薬物治療 4．妊娠・出産にかかわる疾患の治療と注意点

［産褥］ マタニティーブルーズ，産後うつ病

著者： 佐藤昌司¹ 吉田敬子² 山下洋² 中野仁雄³

所属機関： ¹九州大学病院周産母子センター ²九州大学病院精神科神経科 ³九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学

ページ範囲：P.660 - P.663

文献概要

はじめに

　女性のライフサイクルのなかで妊娠・出産および育児期は，内分泌的均衡の変動など生理学的変化と心理社会的状況の変化とが同時に起こり，うつ病の発症をはじめとして，メンタルヘルスに不調をきたしやすい時期である．その状態像は，軽症で一過性の場合から重症までと幅広い．身体的疾患のみならず，妊産婦の精神障害を見逃さないこともまた，われわれ産婦人科医の重要な責務である．

参考文献

1） 岡野禎治，村田真理子，増地聡子，他:日本版エジンバラ産後うつ病自己評価票（EPDS）の信頼性と妥当性．精神科診断学 7 : 525─533, 1996

2） Patric MJ, Tilstone WJ, Reavey P : Diazepam and breast feeding. Lancet i : 542─543, 1972

3） Yoshida K, Smith B, Craggs M, et al : Investigation of pharmacokinetics and of possible adverse effects in infants exposed to tricyclic antidepressants in breast─milk. J Affective Disord 43 : 225─237, 1997.

4） Yoshida K, Kumar R, Smith B, et al : Fluoxetine in breast─mild and developmental outcome of breast─fed infants. Br J Psychiat 172 :175─179, 1998