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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科59巻4号

2005年04月発行

連載 症例

降圧薬カンデサルタンシレキセチルで更年期症状の軽減を認めた2例

著者: 明石真美1 佐藤孝明1 加勢宏明1

所属機関: 1厚生連佐渡総合病院産婦人科

ページ範囲:P.675 - P.678

文献概要

はじめに

 更年期女性では,低エストロゲン状態により自律神経系が不安定となり多彩な愁訴を認め,同時に血圧の変動も激しい.多くは,ホルモン補充療法(以下,HRT)によりその治療を行っているが,子宮筋腫などのエストロゲン依存性疾患を合併している場合,その増悪が懸念される.また,更年期女性でHRTにより乳癌,虚血性心疾患,脳卒中,肺塞栓などの発症リスクがむしろ高くなることが米国の大規模試験により明らかにされ,有害性が有益性を上回ることが発表された1).その結果が日本女性に当てはまるか否かについては疑問の余地も残されているが2),HRTを行う場合には慎重に管理する必要がある.一方,持続性アンジオテンシンII受容体拮抗薬(以下,ARB)であるカンデサルタンシレキセチルは,降圧効果のほかに心拍数や交感神経系の反応性を低下させることが報告されているが3, 4),今までのところカンデサルタンシレキセチルを更年期障害の治療目的に使用した報告はない.

 今回われわれは,子宮筋腫および高血圧症を合併した更年期障害患者において,カンデサルタンシレキセチルを投与し更年期症状の改善が認められた2例を経験したので報告する.

参考文献

1) Writing Group for the Women's Health Initiative Investigators : Risk and benefits of estrogen plus progestin for secondary prevention of coronary heart disease in postmenopausal women. JAMA 280 : 605─613, 1998
2) 日本産科婦人科学会 : ホルモン補充療法に関する見解.日本産科婦人科学会見解(平成14年9月2日),2002
3) Shinohara H, Fukuda N, Soeki T, et al : Effects of angiotensin II receptor antagonists on metaiodobenzylguanidine myocardial imaging findings and neurohumoral factors in chronic heart failure. Heart Vessels 17 : 47─52, 2002
4) 白井徹郎,野崎みほ,向山麗子,他 : 本態性高血圧例におけるアンジオテンシン受容体拮抗薬カンデサルタンの交感神経活性抑制作用.薬理と治療31 : 513─518, 2003
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9) Hersh AL, Stefanick ML, Stafford RS : National use of postmenopausal hormone therapy. JAMA 291 : 47─53, 2004
10) 成瀬光栄,田辺晶代,高野加寿恵 : 更年期女性の高血圧と降圧治療法の選択.血圧10 : 60─64, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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