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文献概要
今月の臨床 安全な婦人科手術をめざして 付属器の手術
子宮外妊娠の手術
著者: 長塚正晃1
所属機関: 1昭和大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.736 - P.739
文献購入ページに移動はじめに
近年の経腟超音波断層法の発達・普及と高感度尿中hCG検査薬の開発により,予定月経がわずかに遅れたため来院する妊婦が増えている.そのため妊娠初期から慎重に経過を追うことができる機会が増えており,子宮外妊娠の破裂前に発見・診断される症例が増えてきた.以前は子宮外妊娠非破裂例,破裂例とも緊急開腹卵管摘出術が施行されてきた.
子宮外妊娠は約10%に反復するといわれており,卵管を保存的に治療することの重要性が認識され,腹腔鏡下手術が普及してきた現在,手術術式は大きく変化してきている.一方で生殖補助医療(ART)が発達したため子宮外妊娠の部位別頻度も変化している(図11)).ART妊娠では子宮内外同時妊娠が11.7%と自然妊娠に比較し高率に発生することから,その診断は重要である.また表11)に子宮外妊娠のリスクファクターを示す.子宮外妊娠では問診は診断上きわめて重要である.
本稿では子宮外妊娠,特に卵管妊娠における手術術式と合併症,予防策について文献的考察を加え報告する.
近年の経腟超音波断層法の発達・普及と高感度尿中hCG検査薬の開発により,予定月経がわずかに遅れたため来院する妊婦が増えている.そのため妊娠初期から慎重に経過を追うことができる機会が増えており,子宮外妊娠の破裂前に発見・診断される症例が増えてきた.以前は子宮外妊娠非破裂例,破裂例とも緊急開腹卵管摘出術が施行されてきた.
子宮外妊娠は約10%に反復するといわれており,卵管を保存的に治療することの重要性が認識され,腹腔鏡下手術が普及してきた現在,手術術式は大きく変化してきている.一方で生殖補助医療(ART)が発達したため子宮外妊娠の部位別頻度も変化している(図11)).ART妊娠では子宮内外同時妊娠が11.7%と自然妊娠に比較し高率に発生することから,その診断は重要である.また表11)に子宮外妊娠のリスクファクターを示す.子宮外妊娠では問診は診断上きわめて重要である.
本稿では子宮外妊娠,特に卵管妊娠における手術術式と合併症,予防策について文献的考察を加え報告する.
参考文献
1) 産婦人科研修の必修知識2004.pp165─172,社団法人日本産科婦人科学会,2004
2) 藤下 晃 : 内視鏡下手術の適応と限界4.子宮外妊娠.産科と婦人科71 : 21─26, 2004
3) 3.腹腔鏡下手術基本手技の習得.pp20─29,内視鏡下手術,研修ノートNo.72,社団法人日本産婦人科医会,2003
4) 日本産科婦人科内視鏡学会(編) : 産婦人科内視鏡下手術スキルアップ.子宮外妊娠の腹腔鏡下手術,pp94─100,メジカルビュー社,2002
5) 藤下 晃 : 術後成績からみた腹腔鏡下卵管温存手術の適応と限界.産婦人科の実際53 : 125─129, 2004
6) 坂本愛子,高瀬幸子,渕脇泰介,他 : 当科における子宮外妊娠手術の検討─卵管線状切開の適応について.日産婦内視鏡学会20 : 199─202, 2004
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8) 生田克夫,鈴森 薫 : 子宮外妊娠治療後の絨毛存続症とその予防.産婦の世界51 : 357─365, 1999
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10) Yao M, Tulandi T : Current status of surgical and nonsurgical management of ectopic pregnancy. Fertil Steril 67 : 421─433, 1997
11) 西島正博,川内博人,釼持 稔,他 : 子宮外妊娠の予防.産婦人科の実際45 : 445─448, 1996
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