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今月の臨床 安全な産科手術・処置をめざして 妊娠中の手術・処置における安全対策
骨盤位外回転術
著者: 竹田善治1 安達知子1 中林正雄1
所属機関: 1総合母子保健センター愛育病院産婦人科
ページ範囲:P.834 - P.837
文献購入ページに移動2000年のHannahら1)が行った欧米多施設共同のランダム化比較試験の結論である「正期産骨盤位は経腟分娩より予定帝王切開がよい」とする報告や,それに続いてAmerican College of Obstetricians and Gynecologists Committee(ACOG)から「正期の単胎骨盤位であれば可能な限り外回転術(external cephalic version : 以下,ECV)によりそれを減らす努力をすることが薦められ,骨盤位の経腟分娩はもはや適切ではない」との勧告2)が出されて以来,本邦でも骨盤位の経腟分娩は激減し,骨盤位であれば帝王切開による分娩が一般的になってきている
このような状況のもと,胎位矯正術の1つである外回転術が見直されてきている.ACOGでは骨盤位の場合,ECVを可能な限り行うことが推奨されているが,本邦ではECVに伴う合併症の懸念のため普及しているとはいい難く,骨盤位であれば胎位矯正術を行わずそのまま帝王切開分娩になる場合が多い.当院では現在まで約200例のECVを行ってきたが,5例(2.5%)でECV直後に緊急帝王切開術を行っている.幸い児の死亡や障害例はないが,ECVにリスクが伴うのは確かであり,無条件に行うのは好ましくない.
本稿では,文献的な検討や当院で経験した緊急症例の検討から,当院で行っているECVの安全対策について述べる(ECVの具体的な手技については成書を参照されたい).
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