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今月の臨床 安全な産科手術・処置をめざして 児遂娩術と帝王切開術における安全対策
帝王切開術
著者: 久保隆彦1 菅原かな1 川上香織1 渡場孝弥1 渡邉典芳1 田中基2
所属機関: 1国立成育医療センター周産期診療部産科 2同 手術・集中治療部麻酔科
ページ範囲:P.862 - P.865
文献購入ページに移動最近,帝王切開の安全対策を巡る種々の問題が起きているので,以下に略述する.
1. 帝王切開の適応と要約の揺れ
無作為化比較試験(RCT)により,正期産骨盤位では経腟分娩で出生した児より帝王切開で娩出した児の予後が良好であることが明らかとなったため,骨盤位適応の帝王切開が増加している.また,VBACの高い子宮破裂率(約1% : 日本の新生児死亡率の10倍)と,米国ではVBAC失敗による訴訟の激増,わが国では30分以内に複数の産科医師,麻酔科医師,新生児科医師が揃う緊急帝王切開がきわめて困難な現状があり,EBMから再びVBACではなく反復帝切を選択する患者ならびに医師が増加している1).一方,妊婦の掲示板サイトでは,十分な知識もなく,医療従事者からの正しい説明を受けていない既往帝王切開妊婦がVBACは安全であると根拠なく思い込んで,実施してくれる分娩施設を必死で捜している.このような受け入れ施設では,ほとんどの場合,緊急対応が不可能である.
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